通勤ミュージック〜091222
2009-12-22


*ベートーヴェン:交響曲第3番・「レオノーレ」序曲第1番・同第2番(コンヴィチュニー/ライプチヒ・ゲヴァントハウスo.)

第2弾はエロイカ。
1楽章冒頭の2和音のスピード感が凄い。
明らかにその後の主部よりも速いので、形式からすれば問題ありなのかも知れないけど、そんなことどうでもいい。

この曲がベートーヴェン自身にとって、そして交響曲の歴史にとっても大きな飛躍の一歩であったことを刻印するかのような2音。

この音(=Esの和音)に始まり、この音に終わる。
それはこの曲を知っている聴き手だから言えることかも知れないけど、その「派生」の力強さも感じる。

1・2番と同様、とにかくスコアのあるがままを鳴らし切っている演奏。
こけおどしやウケ狙いなんて一切無し。
1楽章はTp.なぞり版だけど、それさえ「自然」に思えるほど。

2楽章も、「葬送」の雰囲気に取り込まれすぎることなく、襟を正したくなるような空気を自然と醸し出す。
3楽章のHr.が味わい深いのも良い。この楽章でHr.ダメだと台無しだから。

そしてフィナーレが最高。
確かに盛り上げ方(例の「疾風怒濤」のとことか)なんかで言えば、もっと「派手」な演奏はあるし、それはそれで悪くない。
しかし、この楽章が持っている「変奏曲」の構成をきちんとまとめ上げ、なおかつ聴いていて惚れ惚れするような“愉しさ”を付与しているのが凄い。

速めのテンポで始まる第1変奏も、(それこそフルトヴェングラーのように)「燃えて」いるのではなく、かといって歌に流れすぎての結果というわけでもない。
あくまで「そうでなくてはならぬ」ゆえのテンポ感。
……ていうか、これってコンヴィチュニーのベートーヴェン全集のキーワードかも?て今書いてて思った。

併録の2序曲がまた良い。
どっちかというとマイナーなこの2曲を、これほど「聴かせて」くれるとは。
特に1番は「推敲に悩むベートーヴェン」の姿を曲間からにじませながら、前向きに進もうとする感じが面白い。

そして第2番。確かに3番より“無駄”が多く、粗削りなのかもしれない。でも、そこが逆に魅力的なんだと感じさせる。
この何とも言えない手探り感。
[Beethoven]
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