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*グリーグ&シューマン:ピアノ協奏曲ほか(リパッティ、ガリエラ&カラヤン/PO)
昔から名盤の誉れ高い録音だけど、初聴き。
入手したのはオーパス蔵盤。
リパッティはソロを少し聴いたことがあるくらいで、何とはなしにリリカルなイメージを抱いていたけれど、それだけじゃない!
詩情を備えながら、ここ一番で見せるたゆたうようなロマンが濃い。
特にグリーグが素晴らしい。
もう初っ端のカデンツァからグイグイ引き込まれる。
最低音のAが、こんなに心を打つなんて!
随所で見せる、堂に入った自在なルバート。
自在に羽ばたきながら、決して放埒に見えない絶妙なニュアンス。
オケとの対話をきちんと保ちつつも、自分の世界をしっかりと作り上げてるのがすごい。
実は「この曲って、何となく、浅薄で単純だよなぁ」とずっと思っていた。
……それが何という無知だったことか。(汗
旋律もリズムも、まるでキラキラとこぼれる宝石のような美しさに溢れている。
移り変わる表情に魅了される1楽章。
深い静けさと内省に満ちた2楽章。
単なる舞曲が、より高みを目指す気高さへと昇華する3楽章。
この録音がマイ初演だったなら。
もっと早くその魅力に気付いたのに。
ガリエラのまっすぐに燃え上がったサポートも心憎い。
特に終楽章では、勢い込んだオケの加速と、流れるように歌い上げるリパッティとが、溢れる音模様をあやなす。
まさに、音の古さを超えた名演。
出会えたことに深く感謝。
一転、シューマンは若干物足りない。
リパッティが悪いのではなく、カラヤンのサポートが素っ気ないというかよそよそしいというか。
POも、グリーグと同時期の録音とは思えないほど味気ない。
こういう「単に表面を磨いた」美しさなら、今どきのもっと音の良い録音になんぼでもある。
しかし、リパッティのロマンにあてられたかのごとく、段々とカラヤンのテンションが上がっていくのは面白い。
3楽章では最初とは別人のような趣きで、なかなか刺激的な掛け合いを繰り広げている。
フィルアップに収められたリパッティの自作、コンツェルティーノはチャーミングな佳曲。
ライナーにもあるように、バッハの影がそこはかとなく感じられるのもまた良し。
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